2014年8月17日日曜日

Gehenna/Negotium Perambulans in Tenebris

アメリカはカリフォルニア州サンディエゴのハードコアバンドの1stアルバム。
2000年にリリースされた。私がもっているのはMagic Bullet Recordsリリースの再発版。

Gehennaというバンドのことは実は良く知らないのだが、1993年に結成され以来現在に至るまで活動している長いバンドであること。自らの音楽をNegative Hardcoreと称していること。バンド名はGehennaだが、The Infamous Gehenna(悪名高いゲヘナ)と名乗ることもあること。調べたらそのくらいのことが出て来た。あまり表に出たがるバンドではないようだ。
妙に長いタイトルをグーグル先生に訳してもらうと「暗闇の中でビジネスウォーキング」とでた。むむむ。

さて私の中では元来ハードコアってのは素直さが信条である。(今は多様なバンドがいるのでだいたいのイメージと思ってください。)飾らない。見た目も短髪スッキリ。音楽的にも技術的には飛び抜けている訳ではないが、その分小細工を弄することない素直なもので、主に怒りや不満、フラストレーションに触発されて生まれた曲の速度は速くその分すっと響いてくる作りになっている。
ところがこのGehennaというバンドに関しては音楽性はまぎれもなくハードコアのくせにどこをどう間違えてしまったのか、相当捻くれたことになっている。

ポコポコしたドラム。
ギロギロゴロゴロガツンガツンくるソリッドすぎるベース。
ハードコアにしては若干音が重いギター。
そしてハードコアというよりブラックメタル然とした邪悪ながなり声。
性急な音楽性はまさに生き急いでいるとしか言いようがない。曲の尺は1分台がほとんど怒りに任せて突っ走りこっちがあっけにとられているともう終わっている。
ギターはとにかく刻みまくる様なスラッシーなリフとハードコアな引き倒すリフの使い分け。完全にハードコアな勢い重視の曲作りは本来とても気持ちよいものだが、このバンドに関しては開放感どころか閉塞感に満ちている。要因の一つは前述のボーカルの要素が大きいと思う。掠れまくったのどに引っかかるような声質で吐き出す様なボーカルスタイルは禍々しいとしか言いようがない。ハードコアリフと相まってブラックメタルのようだ。こういうボーカリストはちょっと中々いないと思う。
フィードバックノイズ、突き放したようなスラッジパート。完全にアングラ指向の音楽で、悪意でねじ曲げられた奇形のハードコアだ。何故彼らがあくまでもハードコアの土俵で勝負し続けているのかというのは考えてみるのには面白い問題かもしれない。
ジャケットの内側にはこう書いてある。(私の拙訳で失礼。)
このレコードは私たちが棺桶もしくは檻に入っているのを見たい蟻やウジ虫達のためのものである。
たいした結果もないのに自分が何かを言ったりやったりできると思っている気取り屋やクソ袋達のためのものである。
私たちの自由や人生を消費する立場を狙っている虚偽の友人達のためのものである。
お前らのやったことは忘れられず、私たちの仕事はまだ終わっていない。
お前はゲヘナの踵の下に打ち砕かれるだろう。包囲に備えろ。
お前は7つの冠の元で屈服するだろう。
とても辛辣だ!

ロウな悪意のむき出しである。最新の技術によって洗練されない分狂犬じみた危険な雰囲気がまるっきり削ぎ落とされていない。これは酷く格好いい。
禍々しいプリミティブなブラックメタルが好きな人は是非お試しあれ。とてもオススメ。

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