2014年8月24日日曜日

Pulling Teeth/Paraoid Delusinons/Paradise Illusions

アメリカのメリーランド州はボルチモアのハードコアバンドの3rdアルバム。
2009年にDeathwish Inc.からリリースされた。
日本にも同じ名前のバンドがいるけど(こっちも会社の先輩に借りて聴いたことある。)、こちらはアメリカのバンド。残念ながらバンドは2012年に解散しているようだ。
A389のページ見ていて見つけた。(このアルバムのアナログ版はA389からのリリース。)
アルバムのタイトルを訳すとすると「偏執狂的妄想/楽園幻想」という感じでしょうか。タイトル通り、アルバムのカバーが地獄と天国が表裏になっていて面白い。ちょっと和のテイストが入ったねっとりとしたアートワークも雰囲気あって良いね。(デザイナーはDeathwishのオーナーでもあるConvergeのJacob。画家の人は別です。)

バンドは選任ボーカルにギターが2人という5人編成。音の厚みはかなりのもの。
音の方はというとストレートなハードコアにスラッジの要素を加えたもの。曲によっては鳥の声が入ったアンビエントな長めのイントロを取り入れたり結構面白いこともやっている。
ドラムは乾いた音で比較的音は重め。キンキン言わせて疾走するフレーズとスラッジパートの重々しいフレーズの対比が良い。
ベースは低音重視の重苦しいもので、特にスラッジパートの打楽器の様な一撃の後に、ブゥオーンと唸る様は格好いい。速いところではグイグイ来る。迫力ある。
ギターは音が厚くざらついたもので、スラッシーなリフが小気味よい。結構饒舌な演奏スタイルで結構ギターソロも入れてくるのだけど、キンキンしていないし勿論テク自慢なところもないから、むしろクラシカルなそれが荒々しい曲にちょうど良いエッセンスになっている。
ボーカルはハードコア由来の突き抜けたシャウト。印象としては結構若い、というか声質が結構クリーンなんだけどそれが切れたシャウトに合うこと。ちょっとやんちゃな感じがして気持ちよい。
速いところは速いんだけど、ひたすら速さを突き詰めたパワーバイオレンスなタイプではなく、むしろタメを意識した中速から、完全に速度を落とした迫力のある低速パートが得意なバンドで、曲によってはまるまるスラッジな雰囲気。ギターのノイジーさもたまらん。
気に入ったのは明快さの中にも彼らなりの陰鬱さを取り入れているところ。突っ走る中にもちょっと内省的なところがあって、そこが良い。そのグルーミィさを表現するにもイチイチ大仰ではないんだよね。シンプルだけど物悲しいリフだったり、リバーブのかかった気怠いボーカルだったり、そういった奇を衒わないシンプルさがぐっと沁みる感じ。前述のように結構クラシカルなギターソロを入れてくるバンドなのだが、その飾らないソロが曲によってはなんとも気持ちを盛り上げてくれる。Convergeもそうだけどうるせーハードコアが一転暗い曲を演奏すると俄然魅力が増すよね。3曲目の冒頭の暴走から一転グルーミィなスラッジというよりはポストハードコアじみたパートに沈み込むところなんてたまらんよね。ボーカルはないんだけど楽器陣が歌っている様なメロディアスさが琴線に触れまくり。良いね。

難点を一つ挙げるとしたらやはり全5曲だと少なすぎるかな。もっと聴きたい。
このあと1枚アルバムを出して解散しているからそのアルバムが欲しいんだけど、どっちのレーベルでも売り切れているな…Bandcampかな。古いタイプの人間なもんで可能な限りCDかレコードが欲しいんだけど。
ということで格好いいハードコアさがしている人は是非どうぞ。残暑にはぴったりかもよ。オススメ〜。

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