2014年10月12日日曜日

Flying Lotus/You're Dead!

アメリカはカリフォルニア州のテクノアーティストSteven Ellisonによるプロジェクトの5thアルバム。
2014年にWarp Recordsからリリースされた。私が買ったのはボーナストラックが1曲追加された日本盤。

名前は知っているもののちゃんと聴くのはこれが初めて。曲の数が多くて驚いたのだが(全部で20曲もある。)、1曲1曲の尺は短い。だいたい1分から2分台で矢継ぎ早に繰り出すタイプでどうも他のアルバムでもそうらしいので彼のスタイルなんだと思う。
Warpということもあって結構前衛的かつヒップホップの要素強めのテクノかと思っていたのだが、聴いてみたらビックリ結構ジャズっぽい。日本盤に付属している解説を読むにどうも彼のおじさんというのはジャズ界では有名なジョン・コルトレーンという方らしい(私は名前しか知らない。)まあそんな背景もあって今回のアルバムはジャズっぽく行くぜってことらしい。
なのでテクノアーティストというよりはプロデューサーというかそんな感じかもしれない。勿論曲自体は彼が書いているのだろうが。解説を読むとどうもドラマーも4人というから分からないが、楽器に関しては生の演奏を録音したものではなかろうか。(ドラムも含めて全部が生音ではないと思うが。)テクノと言えば何と言ってもビートだろうからそこを放棄して生音にしたというのだから、中々ラディカルなアルバムであると言える。
ギターは唸りをあげるように即興っぽいソロを奏でるし、ドラムは 乾いた音で一般的なテクノというには音数が多すぎる、 (ドリルンベースというには音色が違いすぎる、やはりジャズだ。)、ブラシ?ていうのかな?なでるようにシンバルをシャリシャリ言わせるのは如何にもだし、ベースも主張が激しくよく動く。ホーンも伸びやかに歌い上げればこれは正しくジャズ。ゲスト陣も豪華(らしく)大胆にボーカルが導入されている曲も多い。
1枚のアルバムの中でも短い曲の中で結構毛色が変わって面白い。ジャズに振り切る事自体もそうだが、とにかくアイディアの多い人なのかもしれない。
何かと話題のKendrick Lammerのラップをフィーチャーした曲はピアノから始まる、ソリッドなドラムと唸るベースが楽しい、ジャジーなヒップホップ。中盤のドリーミィな曲群はリバーブのかかった女性ボーカルが詩を歌う訳でもない「ラララ」と歌うだけで妙な艶っぽさがある。そして一見目立つそれらのゲストを迎えたもの意外の曲群を聴くととはいえやはりテクノらしいビートミュージックの片鱗をかいま見る事が出来る。もったりとした音質の打ち込みバスドラの機械的な連打。this is コンピュータサウンドなピコピコした音。自由に飛び交うびよびよしたアシッドな遊び音。目まぐるしいボーカルのサンプリング。
シリアスな中にも落ち着いた大人な雰囲気、体の揺れる楽しさはなるほどジャズ由来のものだろうが、 そんな多彩な音達をテクノの才でくるっとひとまとめにしつつ、色相豊かなアルバムを 作り上げちゃうのは流石って感じで散漫になる事なく、統一感あるサウンドは最後まで聞き通せる。

印象的なアートワークは日本の漫画家駕籠真太郎さんが書いている。ちゃんと読んだ事はないがエログロな漫画界で名を馳せている人でその筋ではかなり有名な方なんだと思う。奇を衒っているのかと思いきや、折り畳まれたブックレットには1曲ごとにちゃんと駕籠さんのイラストが添えられているという力の入れっぷり。wikiによるとStevenさんは日本の映画やサブカルチャーに今日があるそうなので、おそらくはその流れで駕籠さんに依頼したのだろう。
日本盤も出ているくらいだろうから人気のアーティストなんだろうけど、たまには お洒落な奴聴きたいわ〜って人はどうぞ。

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