2016年9月11日日曜日

Sunday Bloody Sunday/Sunday Bloody Sunday

日本は埼玉のオルタナティブロックバンドの1stアルバム。
2016年にFixing A Hole Recordsからリリースされた。
Sunday Bloody Sundayは3人組のバンドでその活動歴は10年を越えるらしい。メンバーの脱退や活動停止などの紆余曲折を経て待望の、という形でリリースされたのがこのアルバム。バンド名の由来は分からないが同名の曲がU2であるようだ。私は全く知らないバンドでしたが、リリースされるやいなやtwitterのTLで絶賛の嵐、ディストロでは売り切れ状態。なにを〜と思って再入荷と同時に購入した次第。

私は1984年生まれでいわゆるkorn、Limp Bizkitに代表されるニューメタル世代なんだけど、ギリギリオルタナティブ終末期にも被っておりまして。すでにジャンルとしては(嫌な言い方だというのは承知の上で)終末を迎えていたのだと思う。ただ私が人生で一番好きなnine inch nailsだったり、The Smashing Pumpkinsだったりはもちろん「オルタナ」という文脈で持って出会い、その文脈の中で聴いていた。グランジというくくりなら前述のスマパンだったり、Alice in Chains、そしてやっぱりNirvana(音楽好きな男の子はみんな一度は聴いてた)を聴いておった訳。(ここら辺は図書館で借りてMDに録音してた。)何事にも凝り性の音楽好きの友人はミーハーならスルーしてしまうSoundgardenや、Dinosaur Jr.、The Jesus Lizardあたりにも聴いてた事を憶えている。
死んだジャンルとは良くいうが、メインストリームからその姿を消しただけで(多分)どんなジャンルであっても完全に演奏する人がいない絶滅状態になる事はそうないのではないだろうか。ピュアな形でアンダーグラウンドで活動するバンド、血統を引き継ぎながら時代にあった新しい音楽性を模索するバンド(例えばkornはニューメタルの始祖的存在だが、1stの音楽性は自分にとっては良く表現されるヒップホップよりグランジ〜オルタナに近しいところがあるように思う。)。
このSunday Bloody Sundayはそんな”死んだ”ジャンルを自分たちなりに解釈して死後15年か20年たった今まで地道に活動し、じっくりことこと煮込んだすえに見事に煮詰まった(本来煮詰まったというのは良い意味で、ここではそっちの方の意味でお願い)オルタナティブロックをならしている。
再生ボタンを押して1曲目「Intro」を抜けたその先はぎゅっと濃縮された”あの頃”がむわっと鼻を突いてくる。うおお、これ、この感覚、と恐らく私と同世代ならそう思うのではなかろうか。必要最低限のアンサンブルで余計な音は入らず、さすがに20年前よりは圧倒的に音質、音圧もブーストされているが、ギターとベースが低音が強烈に意識された音(いわゆるダウンチューニングというやつだろうか)で持ってグイグイ迫ってくる。黒か灰色でぐわーっとキャンバスを塗りつぶした様な世界に圧倒されるが、そこは何と言ってもオルタナティブ、荒廃したキャンバスにはじつは多様な色の痕跡が見受けられるという訳。ほどよく粒子の粗いきめ細やかな音でスライドを多用したタメとうねり、そして伸びのあるリフを反復的に繰り返していくまさにオルタナティブなスタイルで、明快なドラムが気持ちよい。ここからどう料理してもハード、ヘヴィに進んでいく余地のある音なんだが、そこに気持ちのよい高音ボーカルとメロディラインを大胆に導入することで、見事に”もう一つの選択肢”たるオルタナティブロックバンドとして成立しているのだと思う。ギターの音はヘヴィかつ艶やかだが、高音ボーカルはどちらかというとなんとなくの若さがあってその全体的なアンバランス感がとても魅力。いわばメランコリックであって、同じく昨今突出している同じ日本のTwolowの持つハードコアの由来をビビビと感じさせるタフさ、無骨さとは一線を画す音楽性で、同じヘヴィな現代に蘇ったピュアなオルタナティブといっても共通するところと同じ暗い違うところがあって非常に面白い。ひねたロックンロール感という意味でこれもやはり日本の金沢のヘヴィロックマシーンGREENMACHiNEにもちょっとだけ似ていると思った。
個人的にはラストを飾る「A Weightless Life」のギターワークがとにかくカッコいい!

現在30台くらいの男性は聴けば必ずはまることと間違い無し!だと思う。思わずにやけてしまうのではなかろうか。この記事に出てくるバンド名に思い入れがある人は是非どうぞ。ちなみに私が買ったディストロではまた売り切れ状態。人気っぷりが伺える。カッコいいです。オススメ。

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