2017年4月9日日曜日

Gatecreeper/Sonoran Depravation

アメリカ合衆国はアリゾナ州フェニックス/ツーソンのデスメタルバンドの1stアルバム。
2016年にRelapse Recordsからリリースされた。
Gatecreeperは2013年に結成されたバンドで、2014年のEPを皮切りに行くつかのスプリット音源をリリース。待望のという形でのデビュー作がこちら。
アルバム名は日本語に訳すと「ソノラの堕落」という感じ。ソノラというのはアリゾナ州に隣接する州の名前なので要するに地元をレペゼンしたタイトルということなのだろうと思う。
Relapseからのお知らせなどでアルバムリリース時にMVを見たが「フーム」という感じで買わなかった。ところが最近youtubeでライブ映像を見たらえらいカッコよかったので慌てて音源を購入した次第。

オールドスクール・デスメタルでいわゆるスウェディッシュな一派に影響を受けた感じの音で、潰れたようにぐしゃっとしたギターの音が特徴的。重苦しい圧殺系のねっとりとしたアトモスフィアはいかにもメタル的だが、よくよく聞いてみると結構面白い音を演奏しているなと思う。
全部で9曲で31分たらずで終わるからこの手のメタルにしてはあっさりめ。1曲もだいたい平均すると3分台。ボーカルは専任ということもあると思うのだけど、冗長なパートに時間を一切使わないスタイル。テクニカルではあれど技巧自慢はほとんどなく、ギターソロも非常に短め。ただしたまに必殺の不穏なメロディアスなフレーズが飛び出してくるから侮りがたし。初めっから最後までクライマックス系の音で、グルーヴィさよりも神経症的に隙間を埋めてくる情報量の多さはメタリックなリフにその基本的な姿勢が見て取れる。演奏もかっちりしているのでお手本のようなデスメタルかと思ったんだけど、どうももっとこう遊びというか荒々しいところがある。個人的には結構ハードコア的だなと思った。というのも曲の核となるドラムの叩き方がタシタシそれっぽいのと、主に中速〜低速あたりのテンポチェンジが結構多いこと。曲の短さ(シンプルではないのだけれど)もあって、暴力性という共通項でハードコアと結びついている気がする。シンプルなリフでモッシーに踊れる音楽性では全くないのだが。
どの曲も高速というほどの速さはないわけで、リフのきらびやかさが目立つ。ためのアルミュートリフと蠢くようなギュラギュラしたリフの対比が楽しい。徹頭徹尾メロディアスさが皆無なので一見とっつきにくいけど、よくよく聞いてみると魅力に溢れている。(ちなみに別に音楽的な知識がなくても大丈夫なのでご安心ください。)

かっちりしているし、アイディアも豊富なんだけどそれに溺れずにシンプルかつ削ぎ落とした曲作りをしているから結果魅力満載でかっこいいんだと思う。

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